天翔ける翼はあらで ぬばたまの黄泉まで行かむ 君がためなら
照滴037
本文
天翔ける翼はあらで ぬばたまの黄泉まで行かむ 君がためなら
形式
#短歌
カテゴリ
#6.情愛・人間関係
ラベル
#恋愛 #忠義 #親愛 #夜
キーワード
#翼 #黄泉 #君 #尽力 #犠牲
要点
愛する人のためなら、死や冥界までも恐れない覚悟を描く。
現代語訳
翼はないけれど、愛する君のためなら、ぬばたまの黄泉の世界までも行こう。
注釈
ぬばたま:黒い、夜の闇にかかる枕詞。
黄泉:死者の国
天翔ける翼はあらで:超人的能力がなくても愛の力で行動する意
君がためなら:愛しい人、あるいは救済すべき衆生のためならば。
解説
人間の情愛と自己犠牲の精神を象徴的に表現。愛する人のためなら死や困難も恐れない決意が短歌で強調される。
深掘り_嵯峨
菩薩の誓願と激しい愛の情念を重ねた歌です。神通力(翼)を持たない凡庸な自分であっても、「君がため」という無私の愛があれば、「黄泉」という極限の苦難の場所にさえも赴くという、決死の覚悟を表明しています。
これは、愛する者への情愛が、自己犠牲を厭わないという菩薩の慈悲行へと昇華されていることを示しており、愛の力が信仰の原動力となる、高潔な精神を表現しています。